水道水の硬度は何で決まるか — 水源と浄水場系統の話
公開日: 2026-09-23 / 最終更新日: 2026-09-23
同じ東京都内でも、令和7年度の年度平均で立川市 53.9 mg/L、新宿区 69.7 mg/L、武蔵野市 80.8 mg/L——と、水道水の硬度にははっきりした地域差があります。この差はほぼ「どこの水を、どの浄水場から受けているか」で決まります。
硬度のもとはカルシウム・マグネシウム
雨水そのものはほぼ軟水ですが、地面に浸み込み、地層の中を流れる間にカルシウム分・マグネシウム分が溶け込みます。地下水は地層と接する時間が長いため硬度が高くなりやすく、山からの表流水(川の水)は比較的低くなりやすい——これが基本原理です。
東京の水源は大きく 3 系統
東京都水道局の水源は、利根川・荒川水系(約 8 割)、多摩川水系、地下水です。同じ都内でも、
- 利根川・荒川水系(朝霞・三園・金町・三郷浄水場など)を受ける地域=主に 23 区東部・北部
- 多摩川水系(東村山・小作・砧浄水場など)を受ける地域=主に多摩地区と 23 区西部・南部
- 地下水を併用する地域=多摩地区の一部(浄水所・給水所単位で井戸水をブレンド)
で水質が変わります。本サイトの各区市町ページに「地点別の硬度」を載せているのは、この系統差を見えるようにするためです。
独自水道の市はさらに個性的
都営水道に統合されていない市村は、自前の水源を使っています。たとえば武蔵野市は深井戸(地下水)が主体で、市の公表値では硬度 76.0〜88.0 mg/L(令和7年度実績)と都内でも高めの部類です。昭島市は都内で唯一、深層地下水 100% を水源とする水道事業を運営しており(市公式サイトによる)、給水系統によって 53.4〜73.3 mg/L 程度の差があります。地下水主体の水道は「天然のミネラルが多め=硬度がやや高め」になる傾向の分かりやすい例です。
季節でも変わる
同じ地点でも、渇水期・豊水期で川の水質が変わったり、浄水場の運用(どの系統から送るか)が切り替わったりするため、硬度は季節変動します。都の監視地点では年度内に 20 mg/L 以上変動する地点も珍しくありません。「うちの区は○○ mg/L」と一点で覚えるより、「だいたい○○〜○○ mg/L の軟水」と幅で捉えるのが実態に合っています。